なぜ技術企業の評価が必要か

技術=テクノロジーとは、革新的なアイデアやその具現化であると思われている傾向があります。一方で、技術には成熟度があり、デモレベルから実用レベルまでには遠大な乖離があります。デモを作り出す労力を1とすれば、実用レベルに到達する努力は100と言えます。これはある歴史的な発明家の残した有名な言葉、「1%のアイデアと99%の努力」の真意の一つと言えます。照明器具を構成するのにフィラメントを熱するというアイデアそれ自体はそれほど画期的なものではありません。連続点灯時間を1千時間超にしてはじめて有意な「技術」となりました。つまり「技術」の本質とは1を100にする改善プロセスといえます。このとき社会にとって重要なことは、「連続点灯時間が1千時間超を達成する途中の段階で、ゴールに到達するためのプロセスやアプローチを評価し支援する」ことです。なぜなら、現代の技術は高度に複雑化し、多様な物質のフィラメントを熱する試行錯誤よりもコストを必要としているからです。

一方で、我が国の現状は、「アイデアそれ自体を効果的に説明するプレゼンテーションへの評価」か、「すでに実用性が明らなものへの評価」に集中しており、肝心のその過渡期にある努力の価値を認める主体や仕組みが欠けていました。こうした適切な評価主体の欠如が、イノベーションが生じる可能性を狭め、停滞要因のひとつとして今も在り続けているのです。

True Tech協会は、そうした課題に対処するため、特に価値のあるアイデアに対し適切な努力を蓄積する企業への健全な評価を提供することをミッションとしています。

2025年7月